ものつくり基礎工学事始
「キットバイクに必要なものつくり基礎工学事始」
この素稿は、GP出版より、発刊予定の(10年以上も待たせてしまった・・・)の単行本、の予備原稿です。
調べるよりも記憶先行で書いていきますので、思い違いや間違えもあると思います。(こっそりおしえてください。)
とんでもない間違いはないはずですので、仔猿ホビーの一助とならんことを願って公開していきます。-- sa --

2005.09.09 remake Biken (C)
I N D E X

▼「ゴムナット」

▼「ネジ部:平行ネジ径」

▼「ネジはどこでネジバカになるか?」

▼「頭部形状」

▼「続・テーパーネジ」

▼「ボルトの軸部を見てみよう」

▼「ワッシャー」

▼減速比って 仔猿の例

 
「チャイロブラウンのこうざるこうするでこざる」より転記 2005.09.09 / Biken (C)






「ゴムナット」

仔猿のネジでは、まず基本をミリネジ系にしている。
インチのものは、ブレーキパネルをとめている特殊ボルトのみである。なぜなら、このボルトは圧入用で、実績のある事を尊重し、また、普段は緩めることがな いのでそのまま続けることにしたからです。
こういう判断は、統合も大事だが、継続もしたいなど、ユーザーサイド、作り手サイドの条件で、異なるもので、自動車などでも、国際化の中で、意外やあるも のだ。
インチとミリは、もともとは軍事上の防衛技術として残っているなど、いろんな説がある。

仔猿の中で、オプション部品取り付け用に、ラバーナットが特殊なナットかもしれない。
ネジを引っ張る力を使用して、ゴムを変形させ、抜けないように、絶縁や、防振をかねながら、部品の組み付けが出来るという便利ものである。特殊なだけに比 較的高価なネジだ。
外装部品など、引っ掛け構造で済ましたいところの確実性を重視したいときには将来的にも用いられていくネジであろう。
ナット自体はミリネジなので、余分を持っていると、改造などのときに重宝するはずだ。
板ものに、あるいは板もの同士の結合に、さらに振動などを考慮したいときに有用なネジといえよう。

*ゴムナット・追記
取り扱いの注意としては、ネジ部が金属、ナット部はゴムなので、耐油性のゴムとはいえ、ガゾリンなどの溶剤成分を含むものは要注意。
ネジ部をいためると、取り外しなどが困難になるので、ネジ込みは丁寧に、そして、ぞして、事前にボルト側のネジ山に、CRC などのシリコン潤滑剤を塗布しておく。
またしまりきった感じがはっきりしないので、しっかり閉めたら、目視で確認も必要である。
穴径は、大きめで良いので、板金物などで、寸法の難しいものを作ったときなどにもとても有用なものだ。



●「ニセM」での 使用例)
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「ネジ部:平行ネジ径」

機械的な構造の多いバイクや車ではテーパーネジでは目的に達する性能が出ないケースが大半なので 平行径のネジ山を持ったボルト、スクリューが主になって いるので直面する平行径の一般的なネジ、機械系のネジを考えてみよう。

テーパーネジ系ではネジ形状が先端がとがっていて、柔らかい素材にネジ込みながら押し広げるまるで、モグラのようなものだが、平行ネジではそういうことは 当然起きない。ではどうしてネジが締まるのであろう?
ネジ込みながら相手側を引き寄せ、見方を変えればこちらを押し付けていくもので、木ネジのように、ネジ込んでいくうちにだんだん硬くなっていくものではな い。
いくらネジ込んでも最後に部品があたるまで、硬さは変わらない、当たり前のようだが、ずいぶん性質が違うものだ。
この性質を利用して、ネジ込む回転運動を直線運動に変える工作機械なども有る。
部品組み付けでネジが怪しくなっているときなど、部品同士はガタがあるのに、ネジが硬くなんてしまうときには、ネジに疑問を感じ、そのまま締めずに、そ うっとはずして、ネジ部をよーく観察し修正するなどが必要だ。見てみればネジ山が光っていたり、錆があったりと異常が発見できるはずだ。
工学的に見ると、平行ネジはネジ山同士の摩擦力によってネジ機構が成立している。(ちなみ木ネジなどでは径方向に押し広げて発する締付け力と、摩擦力の2 つが基本メカニズム源となっている。)
ここでいうネジ機構とは、締め付けた事により自然には緩まないことを意味している。
もし丸棒に非常に薄い上をネジ山に見たてて巻き付け、展開すると図のようになる。
正確にはネジのように巻ける展開形状はこのようになると言うことだ、注目すべきは3角形の斜辺が直線であると言うことだ。このため、障害が無ければ、一定 の力でネジが入っていく仕掛けが出来あがっているのだ。図のようにネジの山から山の寸法をピッチというが、ピッチが細かければこの斜めの線は低くながい し、ピッチが大き(荒い)ければ斜線は急になる。
ここで一般的なホームセンターなどで売っている一般ネジと、バイク用を比べて見よう。ホームセンターの一般ネジでは、10ミリ径(M10と呼ぶ)ではピッ チが1.5 ミリ、バイクや車では普通1.25 ミリとなっている。(表は別記)
同じネジの長さで比較して見ると、もし同じように展開図を書いてみると斜線の長さが1.2 倍も違うのである。この長さこそがネジ山の長さであるから、単純にネジ山部がバイク用のほうが120% も長く単純計算ではネジ山が120% 強いことを意味している。
そう、それであれば同じネジ径でも。一般エジに比べ120% 強く締められると言う構造になっているのだ。こうした意味でも、寸法の取れないミニチュア製品では、ネジピッチを細かくしてメカニズムを維持しているの だ。走れるミニチュアバイクということで苦心している仔猿などの場合、素人目ではポケバイの部品と同じような大きさなので、流用してもよさそうに思える が、この理由で、車軸などのネジでも専用に細かいピッチで作るなど必要が出てきている。
ポケバイでは一般ネジを多用しているのでそれだけでも使えないのだ。

逆説的にいえば、一般ネジが悪いように思えようが、ピッチの荒い分だけ、実はネジ穴にネジを入れるときラフに作業しても大丈夫と言う利点がある。これはこ れで、灯油用のポリタンの口のネジのような部分では荒いネジピッチが、良く見ないでも締められるという長所にも生きている。
そういう意味からしたら、細かいピッチのネジははめ込み時には、より慎重な作業が必要とされるし、ネジ山も壊しやすい。  別記0

話を元に戻そう。ネジは摩擦力で持っている。このてんで、ピッチの違いでネジ山の長さが異なることを理解したと思うが、摩擦で接する長さも増えている点に も注目してみよう。
その分良く締まるのか!!というと残念ながらそうではない。純粋な学問的摩擦論では面積が増えても摩擦力は増えないとされているからだ。この場合の条件は 完全な平面と言うことだが、実験しても近い結果が得られる。
ところがここで良くあるのが、現実はどうなのかと言うことだ、理論を維持するような条件は大体の場合崩れている、加工による変形などもあるし、ゴミもあ る、錆もあるという取付け部では、長いネジ部では摩擦はやはり多い。
理論としてはと言うことである。


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「ネジはどこでネジバカになるか?」

それでもピッチの細かいネジはより強いのは事実である。
ここでネジ山の形状を断面図で見て見よう。大まかに見て60度である。実際には国際規格 unifi で1970 年頃に60度が55度に変更されてたのは知っておいて良い。キット遊びににも通じる旧車のレストアなどでは、それ以前のモデルでは60度基準のネジ山だか らだ。オリジナルかどうか知る手がかりにはなろう。
このネジ山の断面から分かるのは、斜めの線(現物では面、ネジ面となる)が大事な摩擦面ということになる。そしてネジの強度面で注目したいのは縦に記した 線である。この部分がネジ山自体の強度になる、いいかえればここが切れてしまえばネジバカになるのである。
ネジを強くするにはここを増やせば良いことになる。本当に? 現実はそうはいかない。
図のように、同じネジの長さではピッチを細かくしても、この長さの合計は同一になってしまう。
ここで、今度は図のように M10の1.5ピッチと M10の 1.25ピッチ正しく書いて見よう。注目すべきはネジのボルト側の縦線が外にずれている点である。確かに合計長さは変わらない。しかし外にずれたことは円 周方向に広がったので、強度を受け持つ面積はましているのだ。(X図?)
こうして、ピッチの細かいボルトは強い強度を持つことが出来ているのだ。

実はこの考え方のネジの強度に関する問題が、相当昔になるが私の研究所の入社試験に出た経験があり、それ以後とても良く考える原因にもなった機械を考える 興味深い点である。
試験では「ネジが切れるのはどこ、その原因を単純に記せ〜」という意味のものだったと記憶しているし、本田宗一郎さんが実在した研究所と優秀な先輩たちの 開発を極めた経験から作成された問題だと思う、このようなものは社会の学校の試験では無い、意味深い問題だと思う。回答は同じように記した)

図に有るように、精密ネジ、エンジン内部用、バイク車などでは、ピッチは細かく、一般ネジそして建築ネジなどはもっと荒くなっているのはこうした理由だ。 強度か作業性で選ぶかで決まっているのだろう。


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「頭部形状」

普通スクリューネジは、丸くボルトは6角形である。普通と言うからには特殊なものが有ると言うことである。
古くは加工上の問題などから4角形のボルトが博物館などの機械で見かけることがある。工具などの事情や作業性などで、特殊な形を持ったボルトは結構存在す る。
最近では防犯上の理由やメーカー以外が触れないように、一般的な工具では使えない用にした形状もそう珍しくない。スクリューネジなのにボルトのような頭を 持ったものや、ボルトなどにスクリューネジ用の頭を持ったものさえある。
スクリューネジもボルトも、通常では標準規格に沿った大きさで、一般的に手に入る工具で作業できるようになっている。ネジの呼び径と頭の関係は殆ど表の組 み合わせであり、良く使うサイズを3、4種類覚えてしまえば、作業はとても効率的だ。


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「続・テーパーネジ」

ところで6ミリボルトだと、6角ネジなら対辺が10ミリなのに、ソケットネジでは内6角だと5ミリと半分であることに不思議を感じる。
確かに6角ネジにメガネレンチを内6角に6角棒を差し込むのなら、スパナの表面で押し付ける圧力、いいかえれば、工具がなめてしまうだろう力は、内6角の ほうが大きいので厳しい。
それなのにネジがなめない理由は、ソケットボルトではネジの強さがある分硬度が高いので、耐えるのである。
しかし当然の事ながら、ぴたりと合ってない工具や角の丸まり始めた工具を使えば、6角スパナも穴も崩れていくので丁寧に良い工具で作業する必要が出てくる のは言うまでも無い。

かこみ --------------------
ボルト頭にスパナを当てると、面ではあたらない説明
しっかり締めたい高力ボルトでは頭の内側が工具が入るようになったソケットボルト(キャップボルトともいう)も良く使われる。内6角のボルトなどと呼ぶこ とも有る。
これもサイズと径、使用工具が決まっているので、便利だし、結構規則性が有るので面白い。
このボルトの頭で、まれに設計して寸法をつめたい事があるが、穴の深さを追いかけると、ボルトの頭の強度不足が発生するし、標準のボルトもそう見るとかな りテストされて、吟味されたものであることに気づき、ボルトメーカーと言う目立たない記号の姿勢に関心さえするものだ。
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かこみ --------------------
horex ブレーキボルト
ボルトの頭で12角というのも有る、正確には12角形でなく、12の角を持ったものだが、航空機用やエンジン大端部の締めつけなど、高力、絶対確実な個所 に用いられている。
相当特殊な例だが、HOREX 644 OSCA のフロントブレーキキャリパーを止めるボルトにはこれが用いられている。
普通のソケットボルトでは頭が大きいので、コンパクト化で約1ミリ小さい頭を持つ12角ボルトを採用している。さらにネジ径は10ミリなのだが、インチ用 の頭を使用し、径を落としたものだ、あまりにも特殊だが、機能にこだわるとそういうボルトさえ作るという、設計屋の特性をあらわした例としては分かりやす い。殆ど聞いたことの無い例だが、これなどはインチとミリの両寸法の美味しいところを採用した、平和な時代だから出来た妙と言えよう。
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(参照:なぜインチとミリ)
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*インチとミリは別記
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ボルトの頭はそれでも、少しでも重量を軽減するなどの理由で、斜めに削り取ったり、周り止めの穴を開けたり、熱の影響を拡散したりなど、高度な性能が要求 される場でも改良、オリジナル化されている。それが時を経て、我々の手に入る価格で標準化されているのだ。おそらく100年前のボルトと言うのは高価なも のであっただろう。
今では25年ほど前には、一本10万円前後で専用製作されていたレース用のM6*25ぐらいのチタンボルトでさえ、1,000 円以下で近似品が手に入る量産技術が出現している。それでも高価だが・・・。

たしかに同じ意味で、最初に作り始めたメーカーやネジ研究者の努力により、ネジの頭は実は丁寧に作られているのだ、いいかえれば、締めてて頭がぽろっと取 れることの無いように、そして、材料の無駄が無いようになど、合理的な結果の形状である。恐らく今後も新しい頭が考案されていくのであろう。

ところでスパナを6角ボルトの頭に当てたとき、二つの面が当たって、ボルトを緩めたり締めたりするのだが、面で当たっているように見えて、実は面で合っ たっているわけではない!!??。
ボルトの頭の間隔幅が仮に10ミリだとすると、スパナの面の間隔幅は 10.1ミリくらいある。つまり 0.1ミリの隙間が開いているのだ。もし0ならピタリだが、それでは作業性が悪すぎたり、その精度を維持するスパナと部位の組み合わせを維持するため、結 果として高価なものになってしまうし、確実に締まるなら、そこまでコストをかける必要は無い。
そういう理由から、隙間が遊びとして存在しているわけだが、接する部分は回すときにはボルトの角が線状に接しているに過ぎない。スパナの力を入れること は、ボルトの角を丸めようとしているような状態でとても苦しい。そこでなるべくピタリとした工具を選ぶことが良いことになるわけだ。

同じ微細に見れば角が当たる状態はメガネスパナでも起きている。ただ2面スパナに比べれば、6箇所も当たり、力が平均的に分散されるのでネジの頭にもやさ しく、しっかり作業ができるわけだ。
前述した HOREXでは12角を使用したのは高価なチタンボルトをしっかりいためず扱えるようにしたものである、お分かりと思うが、12角なので、6角メガネのま た半分に角をいじめる力が減少するのである。

ソケットタイプのボルトの頭では多用されていないが、新しい形式のトルクスタイプを見かけることがある。
一般的でない工具だが、思いつきで作られた防犯用のネジ頭とことなり、一般ユーザーがイタズラに開けることの無いように合いたいコンポーネンツに用いられ ている。
特殊にしたため、同一径のものでは6角形のものより、工具側の一番力のかかる、部分が細くなっているので、高トルクで締める必要があるところには使われな いようだ。
ソケットボルト同様に、ボルトの材質が強く硬いものが採用されている。

ボルトの頭では、つば形状を備えたフランジボルトが、多く見られる。
ボルトには平ワッシャーを使用する場合が多いので、当初は兼用することから着想したもののようにも見えるが平ワッシャーが、相手材の表面を守ることを大き な目的にしているのに比し、フランジボルトでは相手材との接触面積を増すことで、より大きな力で締めることと、緩みにくくすることが目的なる。
実質的な相手材との接触面積はフランジタイプにすることで、2倍ほどになるので、柔らかいエンジンなどの多くの鉄よりは柔らかい、アルミ部品に見ることが 出きるのもうなずけよう。
現在では、かつて特殊だったソケットボルトにも、フランジ形状を持ったボルトが多く使われている。
エンジンや走行性能の向上に伴い。より強固に確実に締めつけたい部品が増えて来てるからである。
6角頭のボルトでは、また産業界の特性から、このような理由からフランジボルトは機械、自動車系に用いられ、強度の有る材料が使われる。
が、フランジ無しは強度の必要が低い建築用なども使われるので、フランジタイプよりは弱いかもしれないと思って取り扱うことだ。


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「ボルトの軸部を見てみよう」

ネジ山より細いものと、ネジ山と同じ太さのものが有ることに気がつく。
ネジは普通の場合なら、ネジ山部分で破断するので、軸部はネジ底の太さでも持つという理論から、ネジ外形より細いものを、有効径ネジ(ボルト)とよんでい る。
ボルトの価格はショップなどで¥10- からぐらいのものだが、ボルト製造工場での現場の製造コストはおそらく何¥、あるいはそれ以下であろう。
最近では、バイク自体もそうだが、コストダウンのため、材料費を削減するのが普通だ。この有効径にすることで、我々から見たら微小だが、確実に材料費は少 ない、有効径ボルトの大きなメリットの一つとして考えられる。
普通、有効径ボルトは転造方式で自動化された機械で、製造されるので、有効径ボルトはそのまま転造ネジとして呼ばれることが多い。
しかし、転造ネジの中にはネジ外径を持ったものも製造されていて、良く使われているので、このコストによる理由というのはうなずけよう。
しかし有効径ネジはこの細身のところを利用して、軽量であることや、長いボルトでの組みつけやすさを考慮して、使われていることも多い。レーサーなどでは 重量軽減のために切削して作るボルトでも外径を一部細くすることが普通だ。

ネジ外形の太さを持つ旧来からのボルトは、エンジン内部や、ブレーキの構成部品では、多用されている、強度と、組み付けによる軸心の位置を維持するなどの 太さによるガイド効果などが目的に含まれている。
もちろん量産では転造方式で、製造される。ただオスネジ形状を持つ機能部品では製造上の効率から、切削加工によるものが多い。時として、レーサーや、数量 の少ない特殊なものでは切削加工をしたボルト類を見つけることが出来る。転造するまでの数量が無いものだ。
変わった例では、ワークスマシンと言われるようなレーサ部品で使われる、チタン製のボルトも切削加工で作られてはいるが、航空機用などでは、チタンボルト が多用されるので、製造造コストを押さえるため転造による、外形ネジが存在し、最近では市販され手に入れられるようになった。


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「ワッシャー」

「ワッシャー」はいれるかどうか良く聞かれる所である。規則性は有るが、念のため入れておこうなどという理由で決められることも有るので、不明な場合も出 てくるのだ。
いくつかの規則性を記してみよう。

スプリングワッシャー
これは目的がゆるみ止めであるので、緩みそうなところつまり、振動の多いところや、絶対に揺るんでは困るところに使うように決められている。 研究が深く ない製品では、そういう点ではスプリングワッシャーが多く使われてしまう。
また、ゆるみ止め効果の高いナットや、凝固接着剤なども出現し、使わなくなっているケースも多くなってきている。

昔のバイクなどでは、バラして見ると、間に合わせに使った身元不明のスプリングワッシャーがスプリング力も無くなり、死んだようにへたった物も有る。 あくまで、スプリングの反発力で、ネジ面の摩擦力を増して、緩みにくくしている原理から見たら、これでは用をなさない。

ほんの少しだが、スプリング力と重量によって、緩みはじめの振動発生を少なくし、それが緩みの発生を押さえると言う理屈も含まれる。
スプリングワッシャーが緩み止めの役割を持つかといって、ナットをゆるく締めて済ます、ということなく、スプリングワッシャを入れて締め付けトルクで締め るというのが普通である。

またスプリングワッシャーのバネ力を利用して、ゆるみ止めにするので、スプリングワッシャーは断面を四角くして、ばね力を高め、締めあがったときにナット との当たり面が平たくなって、緩みにくくするというようになっている。
最近では、ネジ自体の強度があがったことと、実績値で判明したことなどからスプリングワッシャーなしの部分も増えてきている。目的はコストダウンが主だ が、シンプル化という点では好ましいことだと思う。

ところで、締めあがった状態での使用が正常ときした、スプリングワッシャーだが、締め上げない状態で使用する場合が実はある。
キャブレターのチョークレバー回転運動にスプリングワッシャーをスプリングとして使用し、レバーの動き具合を緩まず動かずに適度に調節しているのは、頭の 良い好例だ。
同例は、車体などでも見出すことができる。ただのゆるみ止めとしてだけでなく、原理から考え使えるようにしたアイデアといえよう。


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